47都道府県のカーボンニュートラルの実現へ、バイウィルが目指す真の脱炭素化社会

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KEPPLE編集部


カーボンクレジット創出支援事業などを手掛ける株式会社バイウィルが、シリーズAラウンドファーストクローズにて、第三者割当増資による3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、みずほイノベーション・フロンティア、山陰合同銀行、ちゅうぎんキャピタルパートナーズ、愛知キャピタル、とっとりキャピタル、佐銀キャピタル&コンサルティング、福井テレビジョン放送の7社。

今回の資金調達により、地域金融機関との協力を強化し、日本全国でJ-クレジットの創出プロジェクトの展開を目指す。

Jクレジット:省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を、クレジットとして国が認証する制度。創出されたクレジットを活用することにより、低炭素投資を促進し、日本の温室効果ガス排出削減量の拡大につなげていく。

クレジットを通じて、カーボンニュートラルを実現する

同社は、日本の脱炭素・カーボンニュートラルの実現に向け、環境価値創出支援(クレジット創出)、環境価値提供(クレジット調達・仲介)、脱炭素コンサルティング事業、ブランドコンサルティング事業を手掛ける。

2015年11月にCOP21で採択された「パリ協定」をきっかけに、世界各国が気候変動問題の解決に向けて、脱炭素のための取り組みを進めている中、日本政府も「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げている。そのため現在、各企業は脱炭素施策の加速を求められている。同社は、企業の脱炭素に向けた取り組みにおいて特に「カーボンクレジット」の創出・販売支援に注力し、脱炭素への企業の活動を促進している。

バイウィル クレジット創出・販売支援
2023年4月に、環境価値ビジネスを展開するWaara株式会社とブランドコンサルティングを行う株式会社フォワードの2社が合併し、バイウィルを設立。両社の強みを活かし、環境価値創出をブランディングの側面からも支援する事業展開へと生まれ変わった。

そして、同社は設立以来、積極的に地方金融機関との連携を進めている。日本の脱炭素を実現するためには、各地域に密着した取り組みが不可欠である。同社は、それが結果的に各地域の活性化につながり、新たな利益を生み出すと考えている。そこで重要になってくるのが地域に根差した地方金融機関との取り組みだ。

現在すでに、全国都市銀行2行、地方金融機関24行、保険会社1社、自治体2団体、事業会社1社と提携しており、今後も拡大していく予定だ。

「地域資金循環」による地域脱炭素・地方活性化
今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 下村 雄一郎氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

地方銀行との連携により各地の脱炭素を推進

―― 脱炭素の取り組みにおいてはどのような課題がありますか?

下村氏:現在、金融機関でもファイナンスを通じた脱炭素化支援が推進されています。

CO2排出量の算定や可視化などを行うソリューションやコンサルティングサービスは数多く存在します。ただし、一部の先進的な企業を除いた多くの企業や地方自治体等においては、可視化した後の削減を実現することが難しく、取り組みをどのように進めるべきなのか悩まれているケースも多いです。

特に、カーボンニュートラルの鍵となる「カーボンクレジット」の需要に対して供給が追い付いていないことが課題です。その理由としてはクレジット創出ノウハウの不足や人手不足、取り組みへの資金不足などが挙げられます。私たちはこれらを解消すべく、創出手続きを完全成果報酬型で代行しています。

2030年までに国が目指すJクレジットの発行量は年間約1500万トンです。しかし、大企業が年間数億トンもの排出量を出していることから見ても、需要に比べて創出量が圧倒的に少ない状況です。国内におけるカーボンクレジットへの取り組みを活性化し、創出量を増やしていく必要があると考えています。

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――クレジット創出・支援に関するサービスをはじめたきっかけを教えてください。

バイウィルの前身となるWaaraでは、GX(グリーントランスフォーメーション)を中心にクレジット、コンサルティング、CO2の可視化など多岐にわたる事業を展開していました。しかし、競合他社と比べて差別化ができていない状態でした。その中で、顧客の要望として、可視化やコンサルティングだけではなく、CO2をどのように削減するかというソリューションが欲しいという声が多く寄せられました。

同時に、CO2を削減するには、エネルギー対策またはカーボンクレジットの創出こそが重要な選択肢であることに気づきました。その中で、カーボンクレジット創出支援を行う企業はまだ少なかったのです。この需要に対応すべく、私が関わっていた2社の強みを活かして新事業を作り上げるため合併をし、現在のサービスを開始しました。

カーボンクレジットから本格的な脱炭素の実現を目指す

―― 調達資金の使途について教えてください。

今回調達した資金は、カーボンクレジット創出・販売事業の拡大や効率化のためのシステム開発、新規事業開発および採用活動に活用します。従業員数については、地方銀行と連携していくチームとシステム開発組織を中心に、2024年中には現在の35名から約2倍へと拡大することを目指します。

また、J-クレジットの創出については、2024年までに累計創出トン数を約147万トンまで増加させ、さらに2027年には約474万トンまで拡大させる計画です。

そして、地域金融機関との連携を一層強化し、全国でJ-クレジットのプロジェクトを展開します。環境価値の流通と経済価値の循環を促進し、地方での環境価値の生産と消費を推進して、日本各地のカーボンニュートラル実現を目指します。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

カーボンクレジットの取り組みは、一般的なものとしてもっと広がるべきだと考えています。欧米と比較して日本の環境への意識はまだまだ低いです。まずは、多くの人々に環境に対する取り組みを知っていただきたいと考えています。そして、誰もが環境問題について意識して行動することができる世界を目指します。

また、今後も地方金融機関との連携を強化し、47都道府県すべてに支援を広げていき、将来的にはIPOも目標としています。

継続的にカーボンクレジットの流通を促進し、最終的にはカーボンクレジットだけでなく本格的な脱炭素化社会に向けても支援していき、次の世代に美しい環境を残すことを目指しています。


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