シニアの日常を彩る、AgeWellJapanが提案する新たな世代間交流

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KEPPLE編集部

孫世代の相棒サービス「もっとメイト」を運営する株式会社AgeWellJapanが、第三者割当増資と銀行融資による6500万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、ANRI、Z Venture Capital。融資における借入先は、日本政策金融公庫、第一勧業信用組合、きらぼし銀行。

今回の資金調達により、企業・自治体と連携した取り組みや人材採用を強化する。

シニアがポジティブに生きられる社会を創る

もっとメイトは、孫世代の専任パートナーが定期的にシニア世代の自宅に訪問し、暮らしの困りごとをサポートするサービスだ。

訪問の様子
買い物代行や外出の付き添い、スマートフォンのレクチャーや話相手としてなど、幅広いサービスを専任の「もっとメイトパートナー」が対応する。介護にかかわるサポートは提供していない。

固定の支援メニューはなく、サービス開始時にユーザーの状況や要望をヒアリングの上、実施内容を提案する。週2回2時間、のように訪問頻度や時間を決めて対応するサブスクリプション型プランに加えて、その都度サービスを利用することも可能だ。サービスの利用継続率は90%以上、サービス提供は累計6000時間を超えた。

また、AgeWellJapanは横浜・二俣川駅直結の会員制コミュニティスペース「モットバ!」を運営する。シニア同士やシニアと若者の交流を促進するだけでなく、スマートフォンの利用講座や書道講座などを実施している。

同社は他にも、シニア向けサービスや独自の研究機関「AgeWellJapan Lab」で得た知見やノウハウをもとにした、企業や自治体向けの事業開発を支援する。2023年10月には、シニアやシニア向け事業者、政府機関を対象としたカンファレンス「Age Well Japan 2023」を開催した。

今回の資金調達に際して、代表取締役 赤木 円香氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

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祖母の一言でシニア領域での起業を決意

―― 創業のきっかけを教えてください。

赤木氏:以前から祖父母との距離感は近く、定期的に会う機会をつくっていました。私と会う際には、祖母がたくさんの料理をふるまってくれて、いつまでも変わらず元気なんだと思っていました。

あるきっかけで会う頻度が増えると、祖母の元気がない様子を目にすることが増えたんです。そんな様子を見て、これまでは家族が訪れる際には張り切ってくれていたんだと気づかされました。家族が周りにいない時間を、祖母はどのように過ごしているんだろうと考えたことをよく覚えています。

また、祖母が骨折をした際には、思うように体が動かず家族の支援を受けていた祖母に「長く生き過ぎちゃってごめんね」と言われたことがあります。これをきっかけに、これまで頑張ってくれていた祖母のために自分の人生をかけて取り組みたいと思い、シニア向け事業での起業を決意しました。

―― 御社がシニア向け事業を展開する背景や現状について教えてください。

介護が必要でなくとも、年齢とともに少しづつできないことが増えることで、孤独感を感じたり自己肯定感が低下したりするシニアは多くいます。65歳以上を高齢者と呼ぶ文化的側面も影響し、歳をとることは自分にとってマイナスで、家族や社会のお荷物になってしまうという思いを抱えてしまう人も少なくありません。

日本では平均寿命や健康寿命が伸びたことで、歳を重ねても元気なシニアはたくさんいます。それにも関わらず、70歳だから耳が聞こえないに違いない、もう75歳だからピンクの服は恥ずかしくて着られないなど、”エイジズム”という年齢に対する固定概念や偏見が、シニアの当事者であっても強く残っていることは課題の一つです。

散歩を楽しむ様子
創業時に、100名のシニアにインタビューをしたことがあります。今後100歳まで生きたいかという問いに対して、「はい」と答えたのはわずか21%でした。人生100年時代ともいわれる社会でありながら、長生きしたいと思える人が少ないことは超高齢社会における大きな課題だと考えています。

―― 海外では、もっとメイトのようなサービスはあるのでしょうか?

米国では、大学生を中心とした若者と高齢者をマッチングして暮らしをサポートするPapaというサービスがあります。Papaはシニアの要望を手助けする点で類似しており、米国の国土の広さから、白タクとしてのサポートが多くなっています。もっとメイトとは、ヒアリングからシニアの潜在ニーズを見つけて提案する点が異なり、世代間交流を促すという観点では近しいものがあると思います。

シニアの人生をプロデュースするNo.1カンパニーへ

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

Age-Wellというモットーを掲げることで、自治体や企業との取り組みが増えてきており、これまでに320を超える多世代交流イベントを開催してきました。もっとメイトを軸としながら、企業や自治体とともにさらなる事業拡大を目的として資金調達を実施しました。

Age-Well Designerたち
現在、もっとメイトのパートナーとしてシニアの人生に伴走する約100名のAge-Well Designerがいます。Age-Well Designerを育成するための研修を希望する引き合いも増えており、今後はこうした人材の育成ノウハウを、シニア顧客基盤を持つ企業や自治体にも共有する予定です。シニア顧客に対する伴走力や提案力、ホスピタリティを持つAge-Well Designerを企業に供給していくことが、2024年以降の一番の挑戦になると思います。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

当社メンバーにシニア世代はいなくとも、シニア世代について知りたい際には全力で協力をしてくれるシニアの会員がいることは当社の大きな強みです。企業や自治体がシニア向けの取り組みを立ち上げる際には、AgeWellJapanに相談しようと思ってもらえる状態が目標です。

シニアが今の自分を見つめたうえで今後の人生をプロデュースするような価値観は、今後必ず浸透していくはずです。現在はオフラインの接点を中心に創出していますが、今後はオンラインでも交流の場やサービスを、自治体や企業・シニアと共に創り上げていきます。日本に約3600万人いるシニアからポジティブな行動を引き出すAge-Well Designerを増やして共創することで、当たり前のように若者とシニアが交流できるような社会を目指して取り組んでいきます。

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