チャット活用で刷新される顧客体験、MicoCloudで推進するCコマースとは

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KEPPLE編集部


LINEを活用したマーケティングプラットフォーム「MicoCloud」を開発するMicoworks株式会社がシリーズBラウンドにて、第三者割当増資による約35億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、Vertex Growth、ジャフコグループ、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、ALL STAR SAAS FUND、Eight Roads Ventures Japanの7社。

今回の資金調達により、アジア市場を中心としたグローバル展開を本格化する。

LINEを通じた企業と顧客のコミュニケーションを最適化

MicoCloudは、顧客と企業のコミュニケーションを最適化し、LINEを活用したマーケティングを支援するサービスだ。

MicoCloud
急速なデジタル化により、チャットベースの購買体験である「Cコマース(Conversational Commerce)」の概念が普及している。普段利用するLINEなどのメッセージングアプリ上で企業と消費者間のコミュニケーションを行い、消費者が商品購入の意思決定をする購買プロセスだ。

同社はMicoCloudを通じて、LINEを活用して顧客とのコミュニケーション最適化に取り組む企業を支援している。

企業はMicoCloud上で、顧客の属性情報、過去の配信反応履歴、購入履歴などのデータを一元管理する。これにより、企業は顧客それぞれに適した情報を効果的に配信可能だ。さらに、LINE登録の流入経路分析や配信反応率分析、属性ごとのクロス集計などの機能も搭載している。

MicoCloudの導入ブランド数は1000社を突破。エンドユーザーの数は、2022年2月のシリーズAラウンドの時から約3.8倍の2900万人となっている。(2023年12月時点)

また、飲食店向けLINEミニアプリサービス「ミコミー」も提供している。クーポンの自動配信機能など、飲食店に特化してリピート顧客の獲得に必要な機能を備える。

ミコミー
今回の資金調達に際して、COOの八重樫 健氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

チャットを活用した新たな購買体験

―― なぜCコマースが注目されるのでしょうか?

八重樫 氏:主に顧客接点の変化が大きな要因です。

企業とエンドユーザーのコミュニケーションにおいて、電話やメールは未だに主要な手段として存在し続けています。一方で、ユーザーが電話を利用する時間やメールを見る時間は減少しました。

ユーザーが普段利用しないツールを通じた企業からの通知や案内は、ユーザーにとってはただ不便なだけです。結果的に開封率や広告のクリック率が低下し、売上低下につながります。

そこで企業には、ユーザーが普段から利用しているLINEやFacebook、Instagramなどを活用して、ユーザーとの円滑なコミュニケーションが求められているのです。


Cコマース
Cコマースは世界的なトレンドとして広がっていて、特にタイやベトナムなどのアジア地域では、Cコマースがかなり浸透しています。

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―― アジアでCコマースへの意識が高まっているのはなぜでしょうか?

背景の一つとして、アジアの国々ではプリペイドSIMでデータ通信するスマートフォンユーザーの多さが挙げられます。通信料を気にするユーザーも多い地域性から、通信会社と連携してSNS利用時の通信料を一部無償化する取り組みもあり、コミュニケーションアプリの普及が早く進みました。

結果として、ユーザー間や企業間でも当たり前にコミュニケーションアプリが使われるようになり、加速度的にCコマースが伸びている現状があります。

―― LINEを活用したユーザーとのコミュニケーション事例があれば教えてください。

LINEが注力している機能の一つに、「LINE通知メッセージ」機能があります。公式アカウントに登録しないユーザーに対して、企業が持つ顧客の電話番号を利用してメッセージを送信できる機能です。配送業者から、LINEで配送時間に関するメッセージが届いた経験のある方もいるのではないでしょうか。

公式アカウントを友だち追加していなくても、本当に重要な通知がLINEで届くことで、結果的に公式アカウントのフォローにつながることもあります。

また、サードパーティ Cookieの段階的な廃止も影響し、ファーストパーティデータの重要性が増しています。ウェブサイトへの訪問データや会員データを活用し、いかにコミュニケーションを最適化していくかが企業にとって非常に重要です。

アジアNo.1に向けたグローバル展開を加速

―― 今回は、海外投資家も含めた大型の資金調達となりました。

当社は2030年の中期ビジョンとして、「Asia No.1 Brand Empowerment Company」を掲げ、顧客コミュニケーション領域のアジアNo.1企業となることを目指しています。そのためのMicoCloudの開発強化や、マルチプロダクトの実現に向けて資金調達を実施しました。

グローバルな展開を目指す上では、戦略的なパートナーシップを築くことが不可欠です。今回、シンガポールの有力なグローバルVCであるVertex Growthにリード投資家として参加いただいたことが、特に重要な進展となりました。

具体的な開発としては、MicoCloudのマルチチャネル化によりLINE以外のツールに対応し、さまざまなデータを活用できるプロダクトとしてアップデートします。海外展開も見据えて、各国に適したチャネルに対応する予定です。

―― グローバル展開に向けた戦略について教えてください。

すでに開発拠点としてフィリピン、そしてデータサイエンティストチームを台湾に設置しています。足元では国内最大の利用者数を有するLINEを活用したプロダクト提供に注力しており、まずは日本同様、LINEが普及しているタイや台湾への展開を優先的に進めていく予定です。将来的には、海外企業とのアライアンスを視野に入れています。

―― 今後の展望について教えてください。

今後はMicoCloudシリーズとして、業界特有のニーズに焦点を当てたプロダクトや機能の開発を検討しています。現在注目しているのは、人材や金融、不動産などの分野です。

このような比較的高単価な商材を取り扱う業界では、営業プロセスの中で顧客とのアナログな接点が発生することがあります。マーケティング活動をデジタル化しても、最終的な営業と顧客の対話がメールや電話にとどまっていては、不便で非効率です。

LINEの活用で、マーケティングとセールスをシームレスに繋ぐことができます。マーケティングだけではなく、営業プロセスまでしっかりとサポートできるプロダクトとして強化しながら、2030年ごろには数百億円程度の売上を作ることが目標です。

私たちは時代や顧客の変化を捉えながら、市場規模も大きくて重要性も高いビジネスに挑戦しています。グローバルで戦えるプロダクトを日本から生み出していくために、さまざまな方々とご一緒していきたいと思います。


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