飲食店向けDXで収益最大化、店舗が潰れない世界へ

飲食店向けDXで収益最大化、店舗が潰れない世界へ

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KEPPLE編集部


飲食店のDX化支援を手がける株式会社favyが、第三者割当増資による3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回の資金調達の引受先は、阪急阪神ホールディングス、ケネディクス、サンブリッジグループファウンダー兼 CEO アレン・マイナー氏などの個人投資家。

今回の調達資金は、主にシステム開発費用や人材採用に充て、さらなるサービス強化とシェア型レストランの店舗拡大を目指す。

飲食店経営をワンストップでサポート

同社は、飲食店のDX化や業務の効率化、顧客体験の向上を実現するためのさまざまなサービスを展開している。代表的なものとして、店舗向けサブスクプラットフォーム「favyサブスク」や、店舗向けのモバイルオーダーシステム「favyモバイルオーダー」など収益性改善につながるSaaSを提供する。自社で飲食店を運営している知見を活かし、全国でシェア型レストランも展開する。

また、月間6700万人が訪れるグルメメディア「favy」を運営。各サービスを連携させることで、認知獲得から来店、常連化をワンストップでサポートする。効果測定できる仕組みとともに店舗収益の最大化を支援している。

favy提供サービスについて
favyサブスクの導入店舗数は3500店、会員登録数は65000人を超え、JR東日本のサブスクサービスにも採用されている。シェア型レストランは現在全国で6店舗を運営中。銀座(東京)の他、鹿児島、仙台、大分、宮崎にある倒産してしまった「横丁」形式の飲食区画を、シェア型レストランへフォーマットを変更し、価値向上と再始動を支援している。

今回の資金調達に際して、代表取締役社長 髙梨 巧氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

収益アップのためのデジタルマーケティング手法を模索

―― これまで、飲食業界にはどのような課題がありましたか?

髙梨氏:飲食業はシンプルに言うと、食材やドリンクを仕入れてきて、それを調理加工して販売するビジネスです。基本的に飲食店が収益を得る機会は、「飲食代による対価の回収しかない」というのが非常に厳しい世界だと思っていました。他の事業だと収益源を多様化したり、ストックやスポットの収入があったりします。安定的に成長するフィールドと投資は必要でも、収益が大幅に増えることがあります。しかし、飲食業にはそのようなビジネスモデルの磨き込みが一切ないままでした。飲食店自体が飲食代の対価以外に稼ぐ手段を持っておらず、顧客との接触データを使って収益を上げようということは誰も考えていませんでした。

飲食店だけではないのですが、例えばアパレル業界でも、大手ECマーケットに集客するため、多くの企業がGoogleやInstagramなどのネット広告を積極的に活用しています。しかし、実店舗に対して同様の施策はそこまで行われていません。ECへの集客であれば予算を使うのに、店舗の集客はCPA(顧客獲得単価)が測定できないから効果がわからないと、ないがしろにされているのが現状です。

スタートアップスカウト

―― 2015年に創業されたきっかけを教えてください。

私自身、元々アイレップというデジタルマーケティングの会社の立ち上げに携わった人間です。GoogleやFacebookがどんどん伸びていった時期にこの業界に入り、楽しく仕事をしてきました。ネット広告がどんどん成長する中、店舗を運営される方々がネット広告を上手に活用できていないというのを痛感しました。

それがとてももったいないと思い、どうしたらきちんと実店舗でも活用される効果測定を行えるかを考えはじめました。また、2008年にリーマンショックや2011年に東日本大震災が起こり、自分の好きだった飲食店が潰れていく様子を目の当たりにしました。飲食業の方々に採用されるような、収益アップにつながるデジタルマーケティングの手法を創り出したいと考えたのが創業のきっかけです。

三位一体のビジネスを日本から海外へ

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

2021年から、シェア型レストランを運営する「RaaS(レストラン・アズ・ア・サービス)」という事業を展開してきました。飲食店区画/物件の価値創出を目指し、飲食店舗の立ち上げからデザイン設計、施工、テナントのリーシング、システム提供や運営などをワンストップで提供しています。

現在、首都圏エリアや関西エリアの複数の商業施設で、レストラン形式や横丁形式のシェア型レストランの開発に着手しており、年間10~20拠点を開設していく計画です。SaaSに関しても店舗展開に連動して導入数が増えていく見込みです。この部分のサービス開発が一番重要になると考えているので、エンジニアとプロダクト設計担当の採用がまず一番の使途になります。エンジニアは現在10数名の組織ですが、倍くらいの人数にしていく予定です。

実はコロナ禍で一度95%のクライアントを失い、メンバーも絞らざるを得ませんでした。ありがたいことに改めてビジネスが伸びていて、全体的に人員が枯渇しているため採用を強化しています。

シェア型レストラン

(左)天文館かごしま横丁 (右)coffee mafia 有明


―― 今後の長期的な展望を教えてください。

コロナ禍を経て生き残ったというのが正直なところですが、今年は200%近い事業成長ができる状態が戻ってきました。つらいこともたくさんあったコロナ禍でしたが、事業を磨く良いきっかけになったと考えています。一方で、まだまだ各領域でビジネスを伸ばせる余地があります。メディア、SaaS、RaaSともに三位一体になって成長していくというのが短期的な展望です。

特にシェア型レストランは現在、全国で約50区画を貸し出しており、この一年ぐらいで少なくとも倍には増やせると思っています。200~300区画程度展開できるようになってくると、仕入れなど運営の効率化が進み、上場している飲食チェーンと並ぶぐらいのスケール感になってきます。いち早くこの規模に成長できるよう、目下チャレンジしています。

中長期の目標として掲げているのが、販売データや顧客データなど実店舗での情報をもとに広告を配信する「リテールメディア」の展開です。飲食をはじめとした中小企業の店舗のリテールメディア化を推進することで、新しい収益源を作ることに挑戦していきます。サービス開発をどんどん進めていて、間もなく大々的にリリースを出す予定です。

また、近い将来海外展開も進めていきます。飲食という世界中どこにでもある事業と、GoogleとFacebookが進出していれば100%実現できるアドテク事業の二つを掛け合わせています。まずはアジアから、その後ヨーロッパやアメリカに進出していきたいと考えています。

株式会社favy

株式会社favyは、店舗のDX化を推進・支援する企業。 同社では、店舗向けサブスクプラットフォーム『favyサブスク』や、店舗向けのモバイルオーダーシステム『favyモバイルオーダー』など、店舗の収益性改善につながるSaaSを提供する。 また、自社で飲食店運営をしている知見を活かし、全国へシェア型レストランも展開する。

代表者名髙梨巧
設立日2015年7月1日
住所東京都新宿区西新宿6丁目16番6号
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