顧客の本音が届く、ホンネPOSTの「ちょうど良い距離感」でつながる顧客エンゲージメント戦略

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KEPPLE編集部


LINEを使ったデジタルレターサービス「ホンネPOST」を運営する株式会社はこぶんがシードラウンドにて、ゼロイチキャピタルからのJ-KISS型新株予約権の発行による3000万円、日本政策金融公庫からの融資による1000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回の資金調達により機能開発および人材採⽤を強化し、企業や自治体への導入を加速する。

顧客の「ちょっとした本音」が届くデジタルレター

ホンネPOSTは、顧客が商品やサービス、イベント等に対して抱く本音を、LINEから「伝えたいことだけ」匿名で手紙のように事業者に届けるデジタルレターサービスだ。

事業者は、設問式アンケートや直接の会話では引き出せない顧客の「ちょっとした本音」から潜在的なニーズを掘り起こし、サービス改善や新商品開発へダイレクトに⽣かすことができる。

サービスイメージ
行動経済学などを応用し、ふと本音を伝えたくなるような現場の認知設計・デザインにもこだわり、設問式のアンケートと比較して、よりリアルな声を可視化することが可能だ。

また、回答後は匿名のまま返事が出せるなど、接点づくりが難しい利用後客と「ちょうど良い距離感」で気軽に双方向コミュニケーションをとることができ、顧客接点が少ない事業者は顧客の生の声を聞ける機会が増え、ファンづくりにも活用できる点も強みだ。

現在は、企業や自治体の新規事業や実証実験、イベントの効果測定や、店舗事業者の顧客ヒアリングなどに利用されている。事業者向けには、顧客の声をリアルタイム集計するダッシュボードを提供しており、スピーディにサービス改善に反映することが可能だ。

また、顧客の声の質や量を最⼤化し、事業成長に活かすための伴走支援のコンサルティングも行う。

2023年8月よりホンネPOSTを正式リリースし、これまでの累計POST数(投稿数)は3000件を超える。すでに30以上の事業者に導入実績があり、今後5年間で1万以上の店舗や事業者での利用を目指す。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 森⽊⽥ 剛氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

心が動いたその時に伝えられなければ意味がない

―― 顧客の声を聞く手段としてのアンケートには、どのような課題がありましたか?

森木田氏:多くの事業者は、顧客の声を聞いて、サービス改善に役立てるためにアンケートを活用しています。一方で事業者が設問を用意する従来のアンケートでは、目に見えない顧客の隠れた本音が出てきづらいんです。

サイレントカスタマーは顧客全体の約7割
顧客側も「直接は伝えづらい」という⼼理的ハードルや、顧客が伝えたい事と無関係な設問や、顧客が本当に答えたい設問が含まれていない場合もあります。このような「言いたいけど言えない」「聞きたいけど聞けない」という両者のコミュニケーションギャップが生じて多くの声が埋もれてしまっています。

―― ホンネPOSTにはどのような特徴がありますか?

設問式アンケートのように答えさせる「調査」ではなく、自発的に伝えてもらう「コミュニケーション」をコンセプトにしたUI・UXで設計しています。

認知設計とデザイン
顧客から自発的に本音を伝えてもらうためには、「アンケート=面倒くさい」という潜在意識を外す仕掛けと、シンプルで伝えやすいUIが重要です。

顧客が商品やサービスを利用する中で、心が動いて何かを伝えたいと思ったとき、目の前に手軽に伝えられる手段を用意するだけで、顧客の本音を得られる可能性は高まります。

そのために、ホンネPOSTはツール提供だけでなく、現場の認知設計・デザインから手掛け、得たデータを基にスピーディにPDCAを回すための感情分析、アフターフォローのコミュニケーションまで一気通貫で支援している点は大きな特徴です。

スタートアップスカウト

―― ホンネPOSTを始めようと思ったきっかけを教えてください。

新卒では住友商事に入社し、コーポレート部門でM&A・税制改正対応のサポートや中国駐在を経て、デジタル事業本部にて新規事業開発やスタートアップとの事業開発に携わりました。

在職中には、社内起業制度を利用しての新規事業立ち上げに3年連続で応募し、事業づくりの面白さを知ったことが創業の一番初めのきっかけです。

当時は目的地の混雑状況をリアルタイムで可視化するアプリを企画していたのですが、実証実験では混雑情報よりもサブ機能で集めていた協力店舗に対するユーザーの声の方が事業者に刺さっていることに気づいたんです。

混雑可視化アプリは結局マネタイズに苦戦して最終選考で落選してしまったのですが、そこからホンネPOSTの原型となるアイデアにピボットして検証を続けました。β版でもマネタイズができるようになったことで手ごたえを感じ、事業に対する想いも強くなっていったので、起業をしてホンネPOSTの開発を進めました。

「顧客の声を聞く」シーンでの第一想起を目指す

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

資金の使途としては、サービスのさらなる機能拡充や、開発や営業を中心とした人材採用に充当します。現在は業務委託含め7名の組織ですが、2024年には追加の資金調達を目指し、事業を拡大していく予定です。

初期は企業や自治体向けのコンサルティング実績を積み上げながら、将来的なSaaS展開を目指しオペレーションを磨いていきます。直近では神戸市発の地域課題解決プロジェクト「Urban Innovation KOBE」にも採択いただいており、ビジネスシーンだけでなく、自治体における施策・イベントの効果測定や市民との気軽なコミュニケーションなど、幅広いシーンでの活用可能性があると考えています。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

ホンネPOSTは大企業や自治体だけではなく、店舗運営をする小規模事業者にも非常に親和性が高いです。5年以内には、1万店舗へのホンネPOST導入を目標としています。

将来的には、現在のLINEのインターフェースに加え、Webブラウザ版や音声版、実際の手紙をOCRで読み取れるよう機能拡張していきます。導入現場の特徴に応じて最適なタッチポイントのレパートリーを拡充していき、「顧客の声を聞く」といったシーンでホンネPOSTが第一想起されるような、「日本一本音が取れるタッチポイントカンパニー」を目指して取り組みます。

また、これまでのサービス提供を通じて、積極的に良質な声を届けてくれる「良い意味でおせっかい」なユーザーが、一定の割合で存在することがわかりました。こうした方々にインセンティブを提供し、良質なPOSTをしてくれるユーザーコミュニティ形成の準備も進めており、顧客と事業者が、気軽にコミュニティ内で新商品開発についてコミュニケーションができるような共創プラットフォームにしていきたいと思います。

ためらいなどの⼼理的ハードルでコミュニケーションが阻害され、社会が⾮効率になっているシーンは数多く存在します。当社はその交差点に⽴ち、ホンネPOSTを通じて事業者と顧客の間で埋もれている⼼の声を流通させ、手触り感を持った事業成長ができるサービス作りに取り組んでいきます。

株式会社はこぶん

株式会社はこぶんは、ユーザーが商品やサービスに対して本音を「LINE」から匿名で伝えることができるサービス『ホンネPOST』などを開発・運営する企業。 『ホンネPOST』は、一般的なアンケートとは違い、ユーザーが主体的に「本音を伝えたい」となるような認知設計・デザインを強みとしており、感情分析で顧客心理を可視化できるという。届いた匿名の意見に対して、個別に企業側が返信することもでき、ユーザーとの関係構築にもなるという。同社では、同サービスの運用・改善検証や、分析・改善提案、実行サポートなどを行う。

代表者名森木田剛
設立日2022年4月25日
住所東京都中央区日本橋富沢町9-4
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