「就活」支援で日本を選ばれる国に、若手外国人材キャリアプラットフォーム「JPort」

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KEPPLE編集部


若手外国人材向けキャリアプラットフォームを運営する株式会社SPeakが、第三者割当増資による資金調達の実施を明らかにした。今回の調達額は約2.4億円。累計の資金調達額は約4億円となった。

今回のラウンドでの引受先は、マイナビ、KDDI Open Innovation Fund、三井住友海上キャピタル、ANRIの4社。

今回の資金調達により、人材採用強化による若手外国人材向けキャリア事業の拡大、および「住まい」「金融」領域への事業展開を加速する。

若手外国人材と企業を結ぶグローバル採用プラットフォーム

同社は、外国人材向けのキャリアコミュニティサイト「JPort Journal」、若手外国人材と企業をマッチングする「JPort Match」を提供する。JPort Matchでは、これまでに累計2500件のマッチングを支援した。

同社は、国内での在留資格が「留学」「技術人文国際」「高度専門職」「永住者(在日の方を除く)」「日本人又は永住者の配偶者」の人を『若手外国人材』と定義。対象者は140万人以上としている。

若手外国人材の中でも、特に日本の大学で学ぶ外国人留学生が直面する課題の一つに「就活」がある。ポジション別の採用が一般的で即戦力を求める海外と比べ、ポテンシャル採用や新卒一括採用を行う日本の就活に戸惑いを感じる留学生は多い。

JPort Journalは、日本の大学で学ぶ5000名以上の留学生や働く若手外国人材が利用している。日本の就職活動に関する記事や動画を英語・日本語の両方で公開するほか、日本で働く「先輩外国人材」が就職活動に関するアドバイスを発信している。

JPort Journal
大手企業に限らず、海外展開をする中堅企業も含めたグローバル人材の採用意欲は高い。企業はJPort Matchを利用することで、JPort Journalに登録する若手外国人材に対して自社の魅力を発信できる。

JPort Matchは2021年10月から本格的に始動。これまでに約30社の若手外国人材採用を支援した。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 唐橋 宗三氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

外国人留学生を悩ませる「ガクチカ」

―― 外国人留学生の就職活動には、どのような課題がありますか?

唐橋氏:日本における外国人留学生の就職率は約35%と低い水準にあります。日本独自の「就活」に適応できる留学生が少ないためです。

日本では、必ずしも大学の専攻に影響されず、新卒でも自分の好きな職種に就くことができます。それ自体は良いことである一方、自己PRや「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」の準備など、就活のテクニックを駆使しなければいけません。

日本以外のほとんどの国では、学生時代から職種に必要なスキルを積み重ねて就職する文化があります。そのような留学生にとって、日本における就活の理解は難しい。就活のお作法やテクニックについて知らないと、いざ面接に行ってもうまく自己アピールができないんです。それでは候補者が日本語堪能で優秀だとしても、面接官には魅力的に映りません。

スタートアップスカウト

―― 創業のきっかけを教えてください。

外国人である妻との、日本での生活が原体験としてあります。妻は、日本人と結婚した配偶者のためのビザを持っています。それにもかかわらず、配偶者が外国人だからという理由でアパートを借りられないことがありました。結婚して10年以上経っているのに、最近もクレジットカードや銀行口座が作れないことがあったのです。

また、2年間MBAに通った際には、多くの外国人留学生と接する機会がありました。優秀な学生たちが、日本での就職やクレジットカードの作成、住まい探しなどに困っている。妻が外国人であったり、私が英語堪能ということもあって相談を受けたり、緊急連絡先になったりしたこともあります。

私が個人で手助けできる範囲には限界がありますし、このままでは日本が選ばれない国になってしまう。それならばとSPeakを立ち上げ、まずは若手外国人材の第1関門である「就活」への知識が不足している学生の支援から始めようと、JPort Journalを運営開始しました。

誰もが社会インフラサービスを受けられる社会へ

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

主には、人材採用を強化するための資金として調達しました。これまでのサービス提供を通じてPMFの達成が見えてきており、そのために今後取り組むべきこともわかっています。外国人材に関するトピックを目にすることも増え、追い風も感じている一方で、今はフルタイムのメンバーは私と優秀なコミュニティマーケターだけの状態です。今後事業を推進していくためにも、コアメンバーの採用を積極的に始めています。

また、今後は外国人の「住まい」や「金融」に関する事業展開を計画しています。外国人がクレジットカードの作成や住居を契約する際には、まだまだ多くの課題があります。外国人というだけで、必要なサービスを受けられないことがいまだにあるんです。

今後の展望
彼ら彼女らが必要なサービスを受けるには、リスクが可視化されていなければいけません。それを実現するため、2年以内には外国人向けのクレジットカード提供を開始する予定です。当社の展開するキャリア情報と金融情報を、今回株主となっていただいた事業会社や新たな消費者層獲得を狙う様々なサービス提供会社と連携することで、若手外国人材が必要なサービスに全てアクセスできるようにします。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

キャリア事業に関しては、留学生の就職率を35%から70%に引き上げることが目標です。具体的にはこれから5年間で、私たちのサイトを通じて年間1万人以上が日本の企業に就職するような状況を築きたいと考えています。

世界には、日本で働くことに興味を持つ人がたくさんいます。それは学生に限りません。米国では、IT企業のレイオフの影響で職を探しているエンジニアも増えています。彼らのような優秀な若手外国人材が日本に来てくれれば、日本を元気にしてくれるはずです。ただ、どのように日本で職を得ればいいかわからないという課題は共通しています。そのため、当社サービスが対象とする人材の幅を広げて支援していくことは非常に重要です。

外国人材の受け入れについて、他の国と比べることに大きな意味はないと思っています。日本は日本の状況に向き合って、最適な取り組みを模索すればいい。外国人というだけで一括りにされてしまうこともありますが、彼らにも個性があります。それぞれの個性を尊重しながら、共に日本の将来を創り、日本を「グローバル人材先進国」にしていきます。


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